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Liu, W.; Podowski, M. Z.*
日本機械学会熱工学コンファレンス2015講演論文集(CD-ROM), 2 Pages, 2015/10
強制流動サブクール沸騰を用いた高熱機器の出力は、冷却限界、いわゆる限界熱流束(Critical Heat Flux: CHF)に制限される。定常の核沸騰から逸脱し、不安定な気液共存伝熱である過渡沸騰、あるいは伝熱面温度の著しい上昇をもたらす膜沸騰の開始点として、Departure from Nucleate Boiling (DNB)が限界熱流束と深く関係する。今後の高熱機器の熱設計は、DNBを含む各伝熱過程に対し物理現象に基づいたモデリングを行い、温度の著しい上昇を含む温度過渡変化を計算することによってCHFを予測することが期待されるが、その技術は確立されていない。そこで、本報では、DNB時における伝熱流動を、Liquid sublayer dryoutモデルに基づいてモデリングし、熱伝導方程式を解くことによって液膜厚さや伝熱面温度の過渡変化を得られた。大気泡下の液膜は、蒸発によってdryoutし、DNB発生する過程を予測できたが、実験で確認された、ヒータ焼損につながる温度の著しい上昇が再現されなかった。これを再現するには、DNB発生時の壁面と接触した大気泡速度、及びDNB発生後の過渡沸騰や膜沸騰領域の伝熱をモデル化する必要があると考える。
杉江 達夫; Costley, A. E.*; Malaquias, A.*; Walker, C.*
プラズマ・核融合学会誌, 79(10), p.1051 - 1061, 2003/10
ITERでは、可視からX線領域の広い波長領域を、受動的及び能動的分光計測システムを駆使して測定し、プラズマの中心,周辺,スクレープオフ層、及びダイバータ領域での、不純物の種類,不純物の密度/流入束,イオン温度,プラズマ回転速度,実効電荷,安全係数等を求める。能動的分光計測の例としては、イオン温度,プラズマ回転速度,不純物密度を測定する荷電交換分光があるが、ITER用に最適化した1MeVの加熱用中性粒子ビームでは、荷電交換断面積が小さくなり測定が不可能である。そのためITERでは、最適なエネルギー100keVの計測専用中性粒子ビームが設置される。加熱用中性粒子ビームは、モーショナル・シュタルク効果偏光計での安全係数分布計測に利用される。一方、計測用ミラー,観測窓,光ファイバーなどの計測機器要素が、現存の核融合実験装置に比べて2桁以上高い放射線(中性子,線等)や高エネルギー粒子にさらされ、反射率や透過率などの性能が劣化することが懸念されている。これらの計測機器要素に対する放射線及び粒子照射効果は、ITER工学R and Dの中で精力的に研究され、多くの基礎データが得られ、耐放射線性機器も開発された。分光計測システムは、それらの結果を十分に反映させて、設計が進められている。
中村 仁一; 中村 武彦; 笹島 栄夫; 鈴木 元衛; 上塚 寛
HPR-359, Vol.2, p.34_1 - 34_16, 2002/09
BWRにおいては、ボイド発生による出力低下とボイドの消滅による出力上昇が繰り返され、原子炉出力が増幅的に振動する出力振動が起こりうる。このBWRの出力振動時の燃料挙動を明らかにするため、2種類の照射済燃料の模擬出力振動試験をNSRRにおいて実施した。一つは、高燃焼度燃料の挙動を明らかにするための高燃焼度BWR燃料(燃焼度56GWd/t)の試験であり、他の一つは、高出力条件下での燃料挙動を明らかにするための20%高濃縮燃料(燃焼度25GWd/t)を用いた実験である。被覆管伸び,燃料スタック伸び,被覆管温度等の燃料挙動データが得られた。DNBは、これらの試験では生じなかった。出力振動中に被覆管伸び,ペレットスタック伸びによりPCMIが観察されたが、被覆管の残留伸びは非常に小さかった。出力振動時の燃料挙動を炉内データ,照射後試験データにより議論し、燃料挙動解析コードFEMAXI-6とFRAP-T6の計算結果を実験結果と比較した。
大久保 努; X.Jiang*; 新谷 文将; 落合 政昭
JAERI-Research 98-042, 49 Pages, 1998/08
原研型受動安全炉(JPSR)の定常時及びポンプトリップ事象時の熱的な裕度を評価するため、COBRA-IV-I及びRETRAN-02/Mod3コードを用いた解析を実施した。定常時において、流体混合係数等のパラメータに関する感度解析を実施した。過渡解析に対しては、主冷却水ポンプの慣性等のパラメータに関する感度解析を実施した。計算結果によれば、定常時には大きな熱的裕度が有るが、ポンプトリップ時に対しては、炉心入口での流量低下が速いことにより、最小DNBRが非常に小さな値になる。この熱的裕度を増加させるためには、主冷却水ポンプの慣性を増加させる設計とすることが最も効果的であることを明らかにするとともに、本過渡変化における最小DNBRを増加させる方策に関する提案を行っている。
大久保 努; 新谷 文将; 岩村 公道; 楠 剛
Fourth Int. Seminar on Subchannel Analysis (ISSCA-4), p.267 - 286, 1997/00
原研で行われているサブチャンネル解析に関する研究活動は2つの分野に分けることができる。1つは、新型炉の炉心熱水力設計へのサブチャンネル解析の適用であり、もう一方は、実験解析に基づくサブチャンネル解析コードの改良である。最近実施した適用は、受動的安全炉や一体型舶用炉等の新型炉に対するものの他、関連するDNB実験の解析に対してCOBRA-IV-Iコードを用いて実施した。コードの改良としては、COBRA-TFコードに対して、適切な実験を解析することにより、その予測性能の評価と改良の必要性を判断して実施してきた。最近実施したものは、流体混合及びCHF現象に関するもので、これらのうち、単相流の混合に対する結果の検討を行った。本発表では、以上の原研におけるサブチャンネル解析に関する最近の研究活動の内容を報告する。
新谷 文将; 村尾 良夫; 岩村 公道
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(10), p.1039 - 1046, 1995/10
被引用回数:5 パーセンタイル:49.5(Nuclear Science & Technology)受動的安全炉JPSRの設計研究の一環として、同炉に設置するキャンドポンプの慣性モーメントを決定するために、DNB発生の観点から最も厳しい冷却材流量喪失事故をRETRANコードを用いて解析した。解析の結果、DNB発生限界を密度反応度係数とポンプ慣性モーメントにより関係づけることができ、これより、現在の設計のJPSRでは、慣性モーメントを既存PWRの8%に相当する250kg・mに設定することにより原子炉スクラムなしでもDNBの発生を回避できることがわかった。また、この条件は内蔵型フライホイールにより実現可能であること、及びJPSRの特徴のひとつである炉心の固有の性質によりスクラム不作動時にはDNBを回避できることがわかった。
片西 昌司; 石島 清見; 小林 晋昇; 菊池 輝男; 落合 政昭
JAERI-Research 94-039, 54 Pages, 1994/11
本報告書は、JMTRにおいて前照射されたステンレス鋼被覆燃料(燃焼度4.0GWd/t)をNSRRにおいて過渡出力照射し、健全性を調べた結果についてまとめたものである。実験では、舶用炉の定格13%から130%出力まで5秒間で出力を上昇させた。この実験により、舶用炉の運転条件を大きく上回る急激な出力上昇を与えたときの燃料挙動を調べた。NSRRにおける過渡照射時のデータ及び照射後検査の結果から、このような急激な出力上昇によっても、DNBの発生や被覆管とペレットとの化学的あるいは機械的相互作用は起きず、燃料の健全性は十分保たれることが明らかになった。
M.A.Lucatero*; 神永 雅紀
JAERI-M 94-006, 38 Pages, 1994/02
MEX-15は、メキシコ国立原子力研究所(ININ)が建設を計画している熱出力15MWの軽水減速・冷却、黒鉛反射体付きのプール型研究炉である。燃料としては、ウラン濃縮度19.75%のUO-Alを燃料芯材としたMTR型の板状燃料が使用される予定である。本報告書は、多目的研究炉MEX-15の熱水力概念設計について述べたものであり、強制循環冷却及び自然循環冷却の2つのモードについて検討した。熱水力解析結果から、定格出力15MW、炉心入口圧力1.43kg/cm、炉心入口温度35Cの強制循環冷却時において、標準型燃料要素に対する最適冷却材流速は約5.6m/sであり、その時の沸騰開始(ONB)温度に対する余裕は約17C、最小DNBRは2.58であることが明らかとなった。また、自然循環冷却時には、熱出力約300kWまで炉心のいかなる場所でも沸騰をおこさないで運転可能なことが明らかとなった。本解析結果は、MEX-15の暫定的な技術的仕様の作成に用いられる。
小森 芳廣; 神永 雅紀; 桜井 文雄; 安藤 弘栄; 中田 宏勝; 数土 幸夫; 二村 嘉明
ANL/RERTR/TM-18, CONF-9009108, 0, p.241 - 248, 1993/00
JMTRの低濃縮化に係る安全解析を行うにあたり、使用するDNB熱流束相関式について実験を含めた検討を実施した。実験では、JMTR燃料要素の冷却水チャンネルを模擬した矩形流路のテストセクションを製作し、JMTRの圧力及び流量範囲におけるDNB熱流束データを採取した。実験データと既存の相関式を比較した結果、低流量及び中間流量域(約10m/s以下)では、Sudoの式が最も良く実験データと合うことが分かった。なお、Sudoの相関式のうちの高流量域の式については、圧力効果が含まれていないため、加圧条件下にも適用出来るようにするために一部修正した。また、この相関式を用いた場合のDNBRの許容限界値としては、1.5とすることが適当であるとの結果が得られた。
小森 芳廣; 大島 邦男; 神永 雅紀; 石塚 悦男; 桜井 文雄; 数土 幸夫; 斎藤 実; 二村 嘉明
JAERI-M 92-097, 61 Pages, 1992/07
JMTR燃料の濃縮度低減化に伴う安全解析に使用するDNB相関式について、検討を行った。安全解析に使用するDNB相関式の検討においては、想定される熱水力条件への適用性を確認すると共に、考慮すべき安全余裕を適切に評価することが重要である。このため、JMTR燃料要素の矩形冷却水流路を模擬した実験装置を製作し、圧力1~13kg/cmabs,流速0~4.4m/sの範囲でDNB熱流束を測定した。実験データと既存のDNB相関式とを比較した結果、JMTR安全解析で使用するDNB相関式としてはSudoの式が最適であることが明らかとなった。なお、同相関式のうちの高流量に対する式については、圧力の効果を考慮して一部補正した。その相関式と実験データとの誤差を検討した結果、最小DNBRの許容限界値としては、1.5が適当であるとの結論を得た。
岩村 公道; 渡辺 博典; 新谷 文将; 大久保 努; 村尾 良夫
JAERI-M 92-050, 46 Pages, 1992/03
高転換軽水炉の運転時及び非定常時の熱水力特性を調べるため、流量及び加熱電力の非定常制御機構を有する高圧小型水ループを製作した。本装置を用いて、扁平二重炉心型高転換軽水炉の、一次冷却材ポンプ軸固着事故と制御棒クラスタ飛び出し事故の模擬試験を実施した。繰り返し試験の結果、流量及び燃料棒表面熱流束の過渡変化を、最適予測コードREFLA/TRACの事故解析結果とよく一致させることができた。本試験ではDNBは発生せず、安全解析結果と一致した。次に、事故模擬試験と同じ出力トランジェント形状のまま、DNBが発生するまで初期出力を上昇させて試験を行なった結果、本炉は十分大きな熱的安全余裕を有することを確認した。非定常時のDNB発生は、サブチャンネル解析コードCOBRA-IV-1により計算された局所流動条件をKfK及びEPRI-ColumbiaのCHF相関式に適用することにより、10%以内の精度で予測することができた。
石塚 悦男; 佐藤 猛; 桜井 文雄; 斎藤 実; 二村 嘉明
JAERI-M 92-043, 54 Pages, 1992/03
JMTRでは、核不拡散の観点から燃料の濃縮度を現行の約45%から約20%に低減化する作業を進めている。この作業の一環として、研究用原子炉の熱水力解析を行うために開発されたCOOLODコードを用いて低濃縮化に伴って変更する炉心の定常熱水力計算及び炉心流路閉塞事故時の熱水力計算を行った。その結果、定常熱水力計算では、沸騰開始条件及びDNB条件に対して十分な余裕があること、また、燃料フォロワは、標準燃料要素より熱的な余裕があることが明らかになった。炉心流路閉塞事故時の熱水力計算では、閉塞率に対するDNBRを求めた。
岩村 公道; 渡辺 博典; 大久保 努; 新谷 文将; 村尾 良夫
JAERI-M 92-033, 66 Pages, 1992/03
本報告書では、代表的なDNBメカニスティックモデルを調査し、各モデルによる限界熱流束計算値と、高転換軽水炉体系での限界熱流束実験データとの比較を行った。実験と比較したメカニスティックモデルは、1)Weisman-Pei,2)Change-Lee,3)Lee-Mudawwar,4)Lin-Lee-Pei,及び5)Kattoの5種類のモデルである。比較の結果、以上のモデルのなかでは、Weisman-Peiモデルによる計算値が実験値と最も良い一致を示した。各モデルに含まれる実験定数に関して感度解析を行ない、実験定数が限界熱流束計算値に及ぼす影響を明らかにした。また、計算の過程で得られる各種物理量について比較した結果、モデル相互に大きな相違が認められた。今後、DNB発生機構を明らかにし、物理現象に立脚した一般性のあるメカニスティックモデルを構築するためには、DNB発生時の発熱面近傍の流動現象の詳細な観察が不可欠である。
岩村 公道; 大久保 努; 新谷 文将; 村尾 良夫
Subchannel Analysis in Nuclear Reactors, p.281 - 301, 1992/00
三角配列7本ロッドテスト部を用いた定常及び非定常条件下での限界熱流束(CHF)実験における局所流動条件を求めるため、サブチャンネル解析コードCOBRA-IV-Iを使用した。局所流動条件計算結果をKfKのCHF相関式に適用することにより、定常CHFの発生を10%以内の精度で予測することができた。流量低下、出力上昇、あるいは流量と出力の同時変化条件下での非定常CHF発生も、本手法により定常実験と同程度の精度で予測することができた。本予測手法を扁平二重炉心型高転換軽水炉(HCLWR)の定常運転時及び熱的に最も厳しい一次冷却材ポンプ軸固着事故時のDNB解析に適用した結果、いずれの場合にも最小DNBRは安全基準値を十分上回っており、本高転換軽水炉は十分大きな熱的安全余裕を有することが分かった。
傍島 眞
第28回日本伝熱シンポジウム講演論文集, p.718 - 720, 1991/05
軽水炉燃料の過出力事故時の破損に対する冷却条件の影響について実験的に調べるために、炉内カプセルによる燃料棒照射を行った。燃料棒には緩・速過出力変化を与え結果を比較した。燃料棒破損のエンタルピしきい値は、冷却条件に強く影響された。流路管径が小さいとしきい値は幾分低下し、流体流速が速いとしきい値が上昇した。緩い過出力の破損しきい値は、速い過出力のそれより低かったが、破損モードには両者で目立った違いはなかった。
岩村 公道; 大久保 努; 村尾 良夫; 末村 高幸*; 平賀 富士夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 28(1), p.45 - 58, 1991/01
原研では、燃料の有効利用を目的として、平二重炉心型高転換軽水炉(HCLWR)を開発中である。本炉の運転時及び事故時DNBR特性を調べるため、実験的及び解析研究を実施した。原研及びBettis原子力研究所で実施した三角配列、密格子体系でのCHF実験データにより相関式を評価した結果、KfK相関式がデータとの一致が最も良好であった。Bettisの実験データとKfK相関式による予測値を比較した結果、最小DNBR(MDNBR)として、1.28を得た。一次冷却材ポンプトリップ事故及びポンプ軸固着事故を対象としたシステム解析には、J-TRACコードを使用し、局所流動条件及び表面熱流束の計算には、サブチャンネル解析コードCOBRA-IV-1を用いた。解析の結果、定常運転条件下では十分な安全余裕が確保され、事故条件下においても最小DNBRの評価値はMDNBR基準値を上回ることが分かった。すなわち、HCLWRの現状設計は、MDNBR基準の観点からは実現可能である。
小森 芳廣; 神永 雅紀; 桜井 文雄; 安藤 弘栄; 数土 幸夫; 斎藤 実; 二村 嘉明
Proc. of the Asian Symp. on Research Reactor, p.1 - 8, 1991/00
JMTRの低濃縮化のための準備が現在進められており、これに係る低濃縮炉心の安全評価を実施した。安全評価の中で使用するDNB熱流束相関式について見直しを行うため、JMTR燃料要素の冷却水のチャンネルを模擬した実験装置を製作し、JMTRの圧力及び流量条件下におけるDNB熱流束を測定した。実験装置の製作に際しては、冷却水チャンネルの形状及び等価直径、加熱部の長さ等、熱水力上重要なパラメータが実際の燃料要素とほぼ等しくなるようにした。測定結果と既存のDNB熱流束相関式を評価した結果、Sudoの式が最も良く合うことが分かった。同式のうちの高流量域については、圧力効果を考慮するためにサブクール度を含む因子を加えて補正した。Sudoの式による予測値と測定結果を比較した結果、DNBRの許容限界値としては1.5とすることが適当であるとの結論が得られた。
石島 清見; 丹沢 貞光; 更田 豊志; 藤城 俊夫
Proc. on Safety of Thermal Reactors, p.577 - 583, 1991/00
NSRRでは、これまで実施してきた未照射燃料を対象とする反応度事故模擬実験に引き続き、平成元年度から照射済燃料を対象とする実験を開始した。照射済燃料実験に用いる試験燃料には、動力炉で照射した長尺燃料を短尺加工したもの及び、短尺試験燃料をJMTRにおいて予備照射したものの二種類がある。本報では後者の試験燃料を用いる実験に関し、JMTRにおける予備照射、NSRRにおけるパルス照射及び照射後試験の結果について述べる。なお、JMTR予備照射燃料を用いた実験については、4回のパルス照射が完了し、現在詳細な照射後試験が行われている。これまでに、DNBの発生、被覆管の顕著な変形及び燃料の破損が確認されている。
岩村 公道; 大久保 努; 末村 高幸*; 平賀 富士夫; 村尾 良夫
JAERI-M 90-044, 158 Pages, 1990/03
高転換軽水炉の熱水力学的成立性研究の一環として、4本または7本ロッドからなる三角配列稠密格子バンドルでの定常及び流量低下非定常時の限界熱流束(CHF)実験を実施した。テスト部形状は、ロッド外径9.5mm、P/D:1.21.126、発熱長さ:0.5~1.0mである。定常実験条件の範囲は、圧力:1.03.9MPa、質量速度:460~4270kg/s・m、出口クオリティ:0.020.35である。サブチャンネル解析コードCOBRA-IV-1により求めた局所流動条件をCHF相関式の評価に用いた結果、定常CHFデータに関してはKfK相関式が20%以内で一致した。一方、WSC-2、EPRI-B&W、EPRI-Columbia及びKattoの相関式については、データとの一致は良好ではなかった。流量低下時には、流速減少率が6%/s以下では、過渡時と定常時のDNB発生条件に差は認められなかったが、流速減少率がさらに大きくなると、定常実験から予測されるDNB発生条件に達するよりも速くDNBに至る傾向が認められた。
岩村 公道; 末村 高幸*; 大久保 努; 平賀 富士夫; 村尾 良夫
JAERI-M 90-043, 70 Pages, 1990/03
原研においては、ウラン資源の有効利用と共に安全性を向上させた扁平二重炉心型高転換軽水炉の研究が進められている。本炉を対象として、定常運転時、一次冷却材ポンプトリップ事故時及び一次冷却材ポンプ軸固着事故時のDNB解析を実施した。事故時の一次系システムの過渡解析には、最適評価コードJ-TRACを用い、DNBRの評価には、COBRA-IV-1サブチャンネル解析コードと組み合わせたKfKの限界熱流束(CHF)相関式を使用した。本相関式は、原研で実施した小規模CHF実験データ及びBettis原子力研究所の20本ロッドCHF実験データを用いて検証した。本炉の最小DNBR評価値は、定常運転条件下で1.66、ポンプトリップ事故時には1.56、軸固着事故時には1.34となり、いずれもKfK相関式を用いた場合のDNBR制限値を上回っている。以上の結果より、本炉はDNBR制限上の立場からは成立性に関する重大な支障はなく、実現可能なことが明らかとなった。